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――「DROP SHADOW」が「STRAYM」のグループ展でも展示されていましたが、どのようなコンセプトを元に制作された作品になりますか?
ヒロ杉山 アナログとデジタルを行き来するテーマです。デジタルの中で、ドロップシャドウという影をつける表現は簡単にできることなんです。でも僕はそれを長いことキャンバスで絵の具を使って表現できないかなと思い、それを探っていたんですね。最初は手でスプレーと使って影をつけたりしていたんですけど、全然上手くいかなくて。だけどそれをやっていた時期に「FLAT LABO(フラットラボ)」というデザイン工房の方と知り合いまして、それで工房を訪ねたら大きなUVプリンターがあったんです。インクジェットを擦った端から紫外線を当てて乾かしていくんですけど、それを知ったときに「これだ!」と思って、自分で作ったキャンバスの下地を工房に持ち込んで、これまで自分の手でできなかったスプレーの部分を、インクジェットで擦るということをやってもらったんです。最先端の技術を、くからあるモチーフに落とし込む、ということを、この作品ではやっているんですよ。
――絵画や映像の中でも3Dで表現する手法はあると思いますが、絵を観ていたら、これまでに感じたことのない感覚に陥りました。
ヒロ杉山 浮いて見えますよね。これまでに何百年も描かれてきた平面的な絵画に、視覚的な効果で出っ張らせるのではなく、奥行きを出したかった。それができる技術が見つかったということですね。立体的なことをやりたかったんです。モチーフに関しては、最初に絵の具でアブストラクトな部分をキャンバス10枚くらいを並べて描いて、1カ月くらい壁に立てかけて並べておいたんです。そしたらだんだん星座のように見えてきたので、それをギリシャ神話の神様に置き換えたという感じです。
――2020年の活動の中でもうひとつ気になったのが、クラウドファンディングを行って作品集を制作されたことでした。作品集作りを支援することは、「STRAYM」が行なっている好きなアート作品をシェアすることにも近いのかなと。クラウドファンディングをやってみようと思ったきっかけはなんだったのですか?
ヒロ杉山 自分はクラウドファンディングをやったことがなく、実際にサイトを覗いてみたら、お金が集まっていないファンディングもあったので、自分がやってみてお金が集まらなかったらという不安もあったんです。だけどうちの若いスタッフが「やりましょう」と言ってくれて、それでやってみたんです。だけど実際にやってみたら思った以上に集まって、その中で1番嬉しかったことは、自分が知っている知らないに関わらず、大勢の人たちが応援メッセージをしてくれたことでしたね。それを本当に泣きながら読んでいたんですけど、思いが直で伝わってきてやってみてよかったなと思いました。
――ヒロさんとその仲間たちで、作品集を制作をしているような印象を持ちました。
ヒロ杉山 今は出版社が、本は売れないからと出さないじゃないですか。20年くらい前に、出版社に自分の作品集の企画を持ち込んだことが何度かあって、担当者は乗り気だったんですけど、上の人の承認がとれなく流れてしまったことがあったんです。それで出版社では本は出さないと決めてからは、ずっと自分で作品集を作ってきたんですけど、今回初めてクラウドファンディングをやっていて、こういうものを作りたいという趣旨を伝えて、それに対して応援してくれる人たちがいてという、人々が携わる図式を知ることができて良かったですね。
――「ドローイング1995-2020」は、前々から2020年に制作をしてみようと思っていたのですか?
ヒロ杉山 3~4年前くらいからイメージはあったんですけど、倉庫に絵が山積みになっていて整理しないとなと思っていたんですけど、忙しくてそのままになってしまっていたんです。だけどコロナ時期になたじゃないですか。そこで時間ができたので倉庫の作品を整理し始めたら、今まで描いたドローイングの作品が2000枚くらいありまして。いい機会だから公開してみようと思ったのがきっかけでしたね。
――過去の作品を改めて観て、何かご自身の中で発見はありましたか?
ヒロ杉山 1995年からの作品になるんですが、約25年間分の作品を並べて観たときに、その年々にいろいろなことに挑戦しているがわかったんですよ。その中でなんとなく一貫しているヒロ杉山という太いラインも見えてきて、それぞれ表現は違うけど、芯に通る部分は一貫しているという。それを感じることができることができる作品集を作りたいと思って、それが今回はできたのではないかなと思います。
――2020年のヒロ杉山が、これまでのヒロ杉山を見て発見したその一貫性とはどのような感じでしたか?
ヒロ杉山 なんかバカバカしいことを、しっかりやっているということでした(笑)。
――ヒロさんの作品は、ポジティヴな気分にさせてくれることが多いです。
ヒロ杉山 作品って、その作家の想念が籠るんですよ。僕は絵を売っている立場で、デザインでもそうですけど、例えばアイドルの CDジャケットのデザインをするときなんかは、100万枚くらいの僕のデザインが世の中にばら撒かれる。そのときに僕の想念が濁っていたり、ネガティブだと、その想念が100万枚にプレスされちゃうわけですよ。それは嫌じゃないですか。僕が作った作品から周波数が出ているわけだから、そのときにポジティヴなエネルギーが出たものをその人の家に飾って欲しいというか。自分の絵を観てクスっと笑ってもらったり、楽しい気分になってもらったり、そうなれば少し世の中が明るくなるかなって。そういう感じで作品を作り続けています。
――作品を手にした人たちのことまで考えながら、作品を作っているということですよね。
ヒロ杉山 そうですね。そこまで責任をもたないとダメなのかなって。
――その考えですが、若い頃から持っていましたか?
ヒロ杉山 30歳を過ぎてからですね。もともとイラストレーターになりたくて、20代でイラストレーターになったんですけど、ひとつのスタイルを、毎回焼き直しをしていくというサイクルが苦手になってきて、もっと自由に絵を描きたいと思い、35歳あたりでスタイルを放棄しようと考えたんです。そこから「エンライトメント」を始めて、ビジュアルを作る考え方に変えて、ひとつのスタイルだけではなく仕事ごとにスタイルを変えていくようにしたんです。その「もっと自由に絵を描きたい」と思ってそれまでのスタイルを放棄したことで、閃きの速さが早くなって、受信するようになったんです。そこからいろいろなスタイルになっていったし、制作することが楽になりましたね。その頃から自分が制作して世の中に出るものに関して、責任を持つようになりましたね。絵は人間性が出るので、その人間性を高めつつ作品を作って世の中に巻いていきたいなと。
Profile
1962年生まれ、東京都出身。アーティスト、アートディレクター。東洋美術学校在学中よりイラストレーター湯村輝彦に師事。独立後、1987年に田部一郎と近代美術集団を結成。1997年に米津智之とエンライトメントを設立し、ギャラリー「ヒロミヨシイ」に所属。2002年に開催された村上隆キューレーションのグループ展「スーパーフラット」で現代アートとして世界から注目を浴びる。国内はもちろん、パリ、上海、ナポリなど海外での数々の展覧会で作品を発表。アートディレクターとしては、広告や雑誌を始め、CDジャケットのデザインも多く手がける他、映像方面ではPV制作やVJ、また空間演出を手がけるなど多義に渡り活躍。2020年は、六本木ヒルズA/Dギャラリーにて「ドローイング1995-2020」、阪急メンズ東京にて「DROP SHADOW」といった個展を開催。1月29日まで、阪急メンズ東京7Fにて「へたうま展 ヒロ杉山キューレーション」を開催中。
Enlightenment
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